研究概要 |
拘束多体系の動力学解析法の確立と動的設計法への応用に関する研究の一環として,本年度は,非ホロノ-ム拘束多体系の定式化法,特性行列同定法の精度向上,動的応力解析法の3点について検討を行った。 まず非ホロノ-ム拘束多体系の定式化法においては,現在機構解析などに用いられているKaneの方程式は,D'Alembertの原理を行列形式で書くことによって簡単に解釈できることを示し,行列形式で書いたD'Alembertの原理は拘束多体系の運動方程式のコンピュータによる誘導に最も適していることを明らかにした。また,運動方程式の誘導と得られた式の解析を効率良く行うために,数式処理システムと数値処理システムを協調利用するインタフェースについても検討を行った。 つぎに多体系のモデリングで重要な特性行列同定精度を向上させるために,遺伝的アルゴリズム,ニューラルネットワーク,非線型最適化法などを実験モード解析の計算に適用した。また,特性同定精度に大きな影響を持つ実験データの精度を向上させるために,力フィードバック不規則加振法による漏れ誤差の改善と測定治具の動特性の選択法について検討した。その結果,慣性モーメントの同定精度が大幅に向上した。 さらに,動的応力の解析法においては,実際の空調機を取り上げ,モータ駆動力の動特性,圧縮機の負荷特性の計算法を確立するとともに,配管系の動的応力を効率良く解析するための要素モデルの誘導も試み,実験値とかなり適合する結果を得た。
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