研究概要 |
拘束多体系の動力学解析法の確立と動的設計法への応用に関する研究の一環として,本年度は,モデリングの高精度化と複合系のモデル化ついて検討を行った。 まずモデリングの高精度化においては,多体系モデル化の有力手法と思われる特性行列同定法の基礎データとなる伝達関数の高精度計測法について検討を行った。その結果,計測時間内に応答が十分に減衰しないことに起因する漏れ誤差を小さくすることが伝達関数の高精度測定に必要なことを指摘し,力フィードバック制御を用いた短時間不規則波制御加振法の提案を行い,最適フィードバックゲイン量の存在することを明らかにした。また,この伝達関数を用いて多体系の動特性に大きな影響を持つ弾性支持系の特性行列を求めたところ,十分な精度で同定可能なことが示され,特に防振ゴムについては現行のJIS規定の試験法に比べて短時間で信頼性の高い結果が得られることが分った。 つぎに複合系のモデル化における検討事項として,駆動系として用いられるモータの起動および停止時の特性を解析する方法について検討し,電磁系-機械系のモデル化を行った。また,その結果をロータリ圧縮機と単相誘導モータをもつ空調機-配管系の振動解析に適用し,停止時に配管系に大きな過渡応力が生ずることを明らかにし,空調機-配管系設計システムの構築のための貴重な資料とすることができた。
|