研究概要 |
拘束多体系の動力学的解析法の確立と動的設計法への応用に関する研究として,非ホロノ-ム拘束多体系の定式化法,特性行列同定法の精度向上,電磁-機械系のモデル化,動的応力解析法,動的設計の5項目について検討を行った。 まず非ホロノ-ム拘束多体系の定式化法においては,現在機構解析などに用いられているKaneの方程式は,D'Alembertの原理と本質的に同一のものであることを明らかにし,D'Alembertの原理を行列を使って再構成すれば,コンピュータによる拘束多体系の定式化が容易になることを示した。 つぎに多体系の力学モデルのパラメータとして重要な特性行列(質量行列,剛性行列,減衰行列)の同定精度を向上させるために,計測面では,力フィードバック不規則加振法による漏れ誤差の改善と測定治具の動特性の影響について検討を行い,データ解析面では,実験モード解析の計算に遺伝的アルゴリズムと非線型最適化法などを適用して計算精度の向上を図った。その結果,慣性モーメントの同定精度が従来よりも大幅に向上した。 さらに,動的設計においては,設計の初期段階において開発する機器系の挙動を予測する必要があり,そのため対象系のモデリング法と作用力の同定法を確立する必要がある。そこで本研究では,空調機ユニットの機器-配管系を例に,有限要素法と特性行列同定法を融合利用したモデル化と電磁-機械系の動的駆動力ならびに負荷抵抗の同定法について検討した。その結果,CAD図面情報を使って,実稼働時の機器系の挙動や構成部品の変形および応力特性を十分な精度で予測できるようになり,製品の高性能化,開発期間の短縮化,低コスト化などに大きな効果が期待できるようになった。
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