研究概要 |
構造物の振動を防振する方法として動振吸器,すなわち,それ自身の振動により構造物の振動を吸収する装置があるが,吸収したエネルギは全て捨てられているのが現状である.そこで本年度は,この吸収された振動エネルギを有効利用し,発電を行なう装置に関する研究を行った.この研究は,構造物や機械の防振性能の向上による建設,製造コストの削減につながり,また,海洋構造物や電気自動車などへの適用が特に有効と思われ,省エネルギーの観点から非常に重要と考えられるからである. 機械・構造物の防振と発電を同時に行う装置として,フラフ-プの原理を利用した防振・発電装置の研究を行った.これは,非線形現象を利用しているフラフ-プを発電機に接続した装置であり,これにより,主系の防振を行うと同時に発電を行う装置であり,パッシブな非線形動吸振器である. 実験と理論解析の結果は次のようにまとめられる. 1.フラフ-プ型防振・発電装置を一自由度の強制振動系に取り付けた場合,共振振幅を約1/3程度に防振し,あわせて発電できることを確認した. 2.動振吸器とフラフ-プ型防振・発電装置を組み合わせたハイブリッド型の場合,共振振幅を約1/5程度に防振でき,発電も行えることを確認した. 3.強制振動の防振の場合,フラフ-プが主系の振動と同期して回転することにより,発電が行われる.防振に関してはフラフ-プの質量が大きいほど,その効果が大きい.しかし,フラフ-プを回転させるための初期条件が必要となる.発電量は強制力の振動数の2倍に比例する. 4.自励振動の防振にこの装置を用いると,カオス状の振動となり,渦励振の振幅を1/3程度にまで防振できる. 6.実験結果は数値解析結果と定性的に一致した.
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