研究概要 |
主たる成果は以下の如くである. 1.研究目的の基幹をなす構造物動特性の同定に関しては,部分空間法の一種であるESPRITを応用してモード分解のための理論を構築した. 2.上記理論をオンラインで実行するため,URV分解を利用した高速計算アルゴリズムを開発した. 3.シュミレーションの結果,構造物の動特性が時変である系に対して,その変化に追従して動特性を同定でき,実稼動時応答をモード分解できることが示された. 4.基本構造物として,単純梁を用いた実験を行った結果,構造物動特性の同定に関して理論値と極めて近い結果を得られ,本手法の有効性を実証できた. 5.時変でない動特性を有する系に対し,より高速に実稼動時応答をモード分解するため,一般化された射影行列を用いたモード分解法を提案した. 6.この手法を数値実験で検証した結果,最小自乗法に基づく従来の方法に比べて,精度良くモード分解が可能であることが判明した. 7.一般化された射影行列を用いるには,モードベクトルが一次独立であることが重要であるため,質量行列を必要とせずにモードベクトルに直交性検査を行える方法を提案した. 8.数値モデルから作成されたモードベクトルに対し,本手法と従来の手法を用いて直交性検査を行った結果,質量行列を求めることなく,従来と同じ直交性検査が簡易に行えることが示された. 以上の結果は,国際学会での論文発表,論文誌への投稿を継続中であり,顕著な結果が得られた.
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