研究概要 |
磁石とホール素子の中心軸を平行にして一定の間隔をあけ,ホール素子を固定し,磁石をその軸周りに回転させる場合の磁石の軸特性,及び磁石をホール素子中心軸周りに回転させる場合のホール素子の軸特性をそれぞれ実測し,円板磁石の磁荷分布,及びホール素子検出精度が軸周りで均一であることを確認した.具体的に,磁石とホール素子の軸方向距離を2mm,また,磁石特性における軸間距離とホール特性における磁石の回転半径をともに1mmきざみで1mmから3mmに変化させて実測し,それぞれの軸対称性を確認した. また,球容器外径が約28mmとなるような半球状の容器を製作し,これをメチルケトン系の接着剤で貼り合わせた.ただし,その内部に軸対称性を有するネオジマグネット永久磁石(表面磁束密度3500ガウス)を取り付ける浮動板とダンピング用液体を封入した.また,球容器外壁面上にInSbホール素子を配置し,その出力をA/Dコンバータを介してパソコンに読み込めるようにした.このような装置で容器内に封入される液体と共に浮動する磁石の磁界を,容器外に取り付けるホール素子で測定し,所定の手続きによって処理し,全作用力方向を約1.8度の精度で検出可能になることを確認した. さらに,計測誤差の原因として,1)センサを構成する要素の加工精度や組立精度,2)用いる要素の特性や状態の変化,および3)測定環境中の磁界変化,の3つを挙げ,とりわけ1)について,容器内面の形状精度,容器厚さの不均一性,フロート軸の偏心,ホール素子の取り付け位置と取り付け方向精度,磁石の取り付け位置と取り付け方向精度半球容器結合部の不連続性,フロート重心の位置ずれ,として現実に起こるずれを想定し,それが方向の測定精度にどの程度影響を与えるかを式を用いて定量的に評価した.
|