アクチュエータ、アクチュエータ出力軸に固定されたCCDカメラ、カメラ位置を計測するための角度センサ、及びセンサ機能を持たない弾性棒(触角)からなる、ビジョンベースト能動触角と呼ぶ対象物と触角との接触位置を求める新しい原理に基づくセンシングシステムについて研究を行った。その結果、(1)触角として円形断面の弾性棒を用いた場合、接触点より根元側は3次曲線、接触点より先端側は直線になる。(2)接触位置が既知の平面上にある場合、接触位置によらず触角上の任意の2点が見えていれば接触位置は一意に求まる、(3)対象物の柔らかさの影響を受けずに接触位置の検出が可能、(4)対象物の剛性が推定可能、といったことが明らかになった。また、3次元空間内の接触位置を検出するために1軸のモーメントセンサを弾性棒の根元に置いたシステムについて考察し、(5)触角形状のカメラによる見え方の歪みは、カメラの位置、接触位置、接触力の方向の関数であり、単眼のビジョンでは接触位置が求まらない、(6)カメラの配置に一定の条件を与えれば、3次元の接触位置及び接触力が容易に求まる、(7)カメラによる歪みが含まれる状況であっても反復計算により接触位置が求まる、といったことが明らかになった。さらに、実際のハードウェアを試作し、コンピュータと接続して基本動作確認実験を行った。実験より(1)触角上の計測点からフィッティングにより推定すると、精度がよいものの実時間性が失われる、(2)触角上の2点を使って推定される接触位置は計測誤差によりばらつきが生じるが、多数の点から接触位置を計算し平均化する方法を用いれば高速で精度も保証される、(3)触角上の1割程度の部分が見えていれば接触位置が推定可能、(4)カメラ配置に条件をつけた場合に、3次元の接触位置がほぼ実時間の演算で求まる、といったことが明らかになった。
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