研究概要 |
未熟者への技能教示の内容は,技術的側面に加えて作業姿勢や作業への集中度合いなどの言語や数式で表現できない要因が深く関わっている.本研究では感覚器に物理的な刺激を与え錯覚を提示する錯誤感覚の制御法を提案し,運動感覚・聴覚・温覚を対象とした運動感覚錯誤・聴覚感覚錯誤・温覚感覚錯誤について本手法の技能提示に対する有効性を試作装置を用いて評価を行った. 運動感覚ディスプレイについては,筋紡錘への物理的な振動提示により運動感覚が生じることを確認し,振動提示位置・振動数・振幅と錯誤量の関係を運動感覚提示システムを試作し,実験により評価を行った.その結果,周波数に応じて錯誤量が変化することが明らかとなった.さらに,視覚による錯誤を合わせて実施した際に,視覚優位の錯誤が生じることが明らかとなった. 温覚ディスプレイについては,作業によって身体に加わる作業負荷を温覚として提示する装置を試作し,温覚による情報提示の有効性について評価を行った.腰の関節に生じるトルクに応じた温覚を提示することで,作業負担を作業者に効果的に提示できることが明らかとなった. 聴覚ディスプレイについては,聴覚臨場感技術を用い,作業空間の違和感を修正するための手法を提案し,試作装置を用い実験・評価を行った.その結果,聴覚だけで,壁などの雰囲気を感じとれることが可能であることが明らかとなった.
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