1.リプル注入方式の考察 昨年度試作検討したリアクトル結合二重化コンバータシステムの波形改善を進める過程で新方式を考案した。それは、直流リンクに変圧器を介して小容量の補助コンバータから、出力周波数の6倍周波数のリプル電圧を注入するもので、その結果、合成波形を従来の12ステップから36ステップにできて、著しく波形改善できる。同様な方式は、大形の変圧器を用いたシステムでは、すでに実用されてきたが、小型化・低価格化が可能なリアクトル結合システムでも実現できることを、理論と実験により明確にした工学的・実用的意義は大きい。しかし、現在検討しているリプル電圧注入回路には小形とはいえ、変圧器を使用しており、超大容量装置では、その巻線漏れインダクタンスが悪影響をするので、その対策が必要になる。 2.6相インバータへの拡張 上記の方式を、大容量6相電動機駆動用に拡張した新方式を考案した。6相の場合にはリプル電圧注入回路に変圧器が不要であり、合成波形も超低ひずみ率の60ステップ波形にできることを理論と実験により明らかにすることができた。 3.今後の課題 リプル電圧注入回路と注入波形の最適化が実現できて初めて提案方式の実用化が可能になる。今後、トランスレス注入方式や漏れインダクタンス補償方式などを検討して行きたい。また、本方式に適した電圧制御法の開発する必要がある。
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