研究概要 |
1.電気光学効果素子としてポッケルス効果を有するBGO結晶を埋め込んだ絶縁体(アクリル樹脂板)の表面に沿面放電を発生させ,進展時の表面の電位分布を測定した。BGO結晶のサイズは長さ50mm,厚さ3mmであり,厚さ方向の電界によってレーザ光が偏光されるので,これをストリークカメラで撮影し,放電が進展している際の絶縁体表面の電位分布の時間変化を測定した。時間分解能は1nsである。 2.正極性インパルス電圧を加えた場合の沿面放電の進展速度は4.5X10^7cm/s,ストリーマの電界強度は1.4kV/cmである。負極性インパルス電圧における沿面放電の進展速度は4X10^7cm/s,ストリーマの電界強度は2.1-4.7kV/cm,また,先端近傍の電界強度は16.0-21.5kV/cmである。さらに,負極性の沿面放電はストリーマが進展と小休止を繰り返しながら,放電全体が伸びるという性質があるが,本実験でその際の電位の変化を明瞭に測定できた。正,負極性ストリーマとも進展速度は他の手法による結果にほぼ等しく,電界強度についても推測されている値である。 3.印加電圧が降下すると逆放電が発生するが,その時の電位変化も測定できた。 4.従来のプローブ等による電界強度の測定は放電に与える擾乱が大きくその結果に問題があったが,本手法ではそのような影響が皆無であるので,ストリーマ電界の直接測定が可能になった。しかし,現時点では位置分解能がまだ不十分なため,測定精度に難点があるので,今後は分解能を向上させ,より正確な値を求める予定である。
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