研究概要 |
絶縁体表面を進展する沿面放電の電位分布を測定するために,電圧センサとして電気光学素子(ポッケルス素子,BGO結晶)を採用し,これにレーザ,ストリークカメラ,CCDカメラを組合せてシステムを構成している。この電圧センサは放電空間に全く擾乱を与えず,情報伝達に光を使用するので電気的雑音の影響が少なく,かつ高速応答が可能である。BGO結晶の表面に直接沿面放電を発生せしめて表面電位を測定する方法と,BGO結晶を放電している絶縁体の中に埋め込み,絶縁体表面の電位を間接的に測定する方法を併用しながら,空気中の沿面放電進展時の電位分布を求めた。主な結果は次の通りである。 1.沿面放電が進展している際の表面電位の位置的変化と時間的変化を同時に測定できた。位置分解能は0.1mm,時間分解能は2nsである。さらに,この測定電位から沿面電界,表面電荷密度,進展速度が算出される。 2.沿面ストリーマの電位は先端に向って単調減少しているが,沿面電界は先端ほど高く,その値は30kV/cm以上であり,衝突電離が盛んに行われていることを示している。 3.発生直後のストリーマ速度は10^8〜10^9cm/secであるが,進展停止直前には10^6cm/sec迄に低下していることが明らかになった。進展している時間は50ns以下である。 4.負極性の沿面放電が進展と停止を繰り返しながらステップ的に進行する際には,それに対応した電位分布の急激な変化が明瞭に測定されている。
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