研究概要 |
本研究は、演色性に優れた光源として最近各所で使われ始めたメタルハライド放電ランプ内の放電を対象として、i)放電中における温度分布及び各種粒子密度分布を精度良く計測し、ii)計測データを基に放電のモデル化を行つて放電中での粒子及びエネルギー輸送過程について明らかにすることを目的にしています。 高周波電源を用いた誘導結合形無電極メタルハライド放電に対して、発光分光法とレーザー誘起蛍光法を用いた計測による実験的研究を主として行い、以下のような成果を得ました。計測対象ランプは、石英製の円筒状放電管(内径27mm、高さ10mm、封入物;ScI3:4.1mg、NaI:16.3mg、Xe:200Torr)を真空引きされた外管(外径35mmの円筒状石英管)内に納めたものと外管の無い放電管のみのものの2種類です。 i)測定結果から、大半径〜8mm、小半径〜2mm、のド-ナツ状の空間で、励起及び電離が活発である事を確認した。 ii)150から300WのRF入力の増加に対して、Sc原子及びNa原子のスペクトル線強度は増加したが、Scイオンのスペクトル線強度は減少した。Scイオンに対して行ったレーザー誘起蛍光信号も、発光スペクトル線強度と同じ傾向を示し、RF入力の増加に対してScイオン密度が減少する事を確認した。 iii)Sc原子とScイオンのスペクトル線の放出係数比から評価した温度は、5000K程度であり、RF入力の増加に対して300〜500K程度減少する傾向が認められた。 iv)ランプの構造の違いに伴う放電管の冷却機構(空気の対流,支持棒からの熱伝導損失)の差から,発光スペクトルの空間分布やスペクトル構造のRF入力への依存性が異なることが実験的に確かめられた。
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