研究概要 |
昨年度行ったソレノイド誘導型平面ウイグラの基本設計に基づいて、本年度はその磁場テスト装置を製作し、磁場特性を得ることができた。外径50mm,長さ1270mmの銅製ボビンに4mm×5mmのポリエチレン被覆方形銅線を3371回巻いて、電流10Aでソレノイド磁場330Gを得た。実際は100Aの電流を流すために磁場はこの10倍になる。この磁場中に鉄ブロックを間隙長16mmで上下2列に周期配列させて、周期長22mm,33mm,44mmの平面ウイグラを形成させ、それぞれ71G、158G、248Gのウイグラ磁場を得た。これにより周期長が長くなるほどウイグラ磁場が強くなる定量的な資料が得られ、その磁気回路による説明もできた。そこで今の平面ウイグラと違って、ソレノイド誘導型ヘリカルウイグラもその磁場がそれほど弱くならずに実用にできる資料が得られた。すなわち平面ウイグラ磁場とソレノイド磁場中の電子ビームには発散性があり、そのた集束用の2直線電流を使用する予定であった。しかしヘリカルウイグラ磁場の使用が可能ならそれ自身の集束性により、集束用の2直線電流は不要となる。 さらにE-Gunコードにより、電子銃の設計を行った。それぞれ、0,-30,-60,-90,-100kVの軸対称円錐5電極による集束電子銃が計算でき、これは最大電圧-100kVが-10kVまでの変化に対して有効である。またこの計算結果を実現する実際の電極設計も行った。現在この電極に電圧を与えるため螺旋状高電圧分配抵抗と含浸カソードの研究を行っている。実際の高電圧印加の前に1kVより低い電圧で電子銃の基礎実験を本年度行う予定であったが、これは来年度になる。-100kVの電圧を印加した状態での陰極電圧用電源は真空チャンバ内に電池を入れてこれを-100kV電位で使用する。このとき外部からチャンバ内ヘレーザペンライト光を導入して、その光の計算機処理によえうFET制御で、陰極のヒ-タ電流をコントロールする計画でこの研究も進めている。安全性とヒ-タ電流の合理性を追及しており、これに時間をとられている現状である。
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