環境問題をも考慮した新エネルギーに関する教育実験設備を開発する目的で、太陽光および風力発電を利用して水を電気分解して水素を発生・貯蔵し、そのエエルギーの利用を図るシステムの試作・テストを、教育用に止まらずに実用的なシステムへの応用を検討しながら、学生を指導して行った.初年度の研究として入手・試作した各設備の基本特性を調べて、教育および実用設備への具体的な応用の可能性を追及することを主眼にした. 試作した電解槽は、φ110×160mmのガラス容器の中央および周囲に同心状に陰極および陽極(ステンレス板)を配置し、媒質に10%水酸化ナトリウムを用いたもので、2.5Vの電圧で2A程度の電流が流れる. 実験に使用した太陽電池パネルは、φ100mmの単結晶型のセルが34個直列接続されたもので、最大定格37.5W、日射量が変化しても最大出力電力が得られる電圧はほぼ一定の16V程度である.これに合わせて、電解槽は5個直列に接続して使用し、晴天の日には約1molの水素を得ることができた. 風力発電機は風速10m/sで70Wの定格であるが、比較的風が強い日でも平均1〜2W(10Ω負荷)程度の出力であり、風速は変化が大きいので、本システムとしての優位性はあるが教育設備の具体化に関しては検討中である. これらの結果をもとにさらに実験を重ねて、来年度は教育実験設備をいくつか製作するが、既に次のテーマの実験装置およびテキストが完成あるいは製作中である. (1)太陽電池の特性(電圧-電流特性および変換効率、開放電圧、短絡電流(パラメータは日射量-パネルの太陽に対する角度で調整).電球の照射による小型のセットがあったが、実際に太陽光による大形パネルの実験) (2)太陽光発電による水素の生成
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