コンデンサと放電球ギャップを用いた急峻パルス電圧発生装置を製作し、回路に直列に接続した種々のコイルのインダクタンスによって、パルスの立ち上がり時間を40〜120nsに制御て、線対平板および同軸円筒放電電極に印加し、パルスコロナ放電特性を調べた。得られた知見を要約すると、 1 線対平板電極では、正極性で、(1)電圧パルスの立ち上がりが速い場合に、電極への充電電流とストリーマコロナ放電に対応する2つの電流のピークが測定される。同一電圧の場合、電圧パルスの立ち上がりが遅くなると放電電流のピーク値は減少し、80ns以上では測定されない。充電電流のピーク値は電圧の立ち上がり時間に対してほとんど変化しない。(2)放電エネルギーは、電圧の立ち上がり時間が遅くなると急速に低下する。充電エネルギーは電極形状から算出される静電容量のエネルギーにほぼ一致する。 2 負極性の場合や同軸円筒電極ではいずれの極性でも、充電電流と放電電流の分離は測定されない。 これらの結果から、プラズマ化学反応に有効なラジカルの効率的生成には、正極性の立ち上がりの速いパルスコロナが有利であると考えられる。
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