研究概要 |
風力発電は、クリーンで安全なエネルギー源として注目されて以来、国内においても各電力会社において実用化が始まっている。しかし、離島での独立電源用や無人中継局の電源用として風エネルギーを利用する場合には、風エネルギー密度が希薄であることや、風速の変動が激しいため、エネルギー変換効率を高めるための各種制御法を検討する必要がある。さらに、独立電源用風力発電設備の発電機には,直流機だけでなく交流機(主に誘導発電機)も使用されている。そこで、複数台の風車で、それぞれ異なった種類の発電機から、風エネルギーを効率よく取り出すための発電機協調運転群制御法は、風エネルギー利用に貢献できると考えられる。 まず,今年度の研究においては、発電機協調群制御のための基礎研究として、単独発電機を使用した高効率化のための出力制御法の検討を行なった。その一つは、ファジィ推論を用いた出力制御であり、この制御法は、計測される風速と風車回転数により最大出力が得られるように発電機の発生電流を制御する方法である。その結果、従来の予想風速による制御結果と比較してファジィ推論による制御法の有効性を確認した。また、協調制御を行うために必要な出力特性推定による出力制御法の開発については、カルマン・フィルターを応用した出力特性推定法の開発を行い、この制御法の有効性を確認した。 次に、従来までに我々が確立しているプロペラ形風車発電システムシミュレーション手法以外に、サボニウス形風車やダリウス形風車に対応するため、ニューラルネットを用いた発電システムのモデリングに関しても開発を行い、ほぼその有効性を明らかにした。現在、協調制御法開発のために使用する風データを、数台の風速計測システムにより収集中である。また、異なった発電機による協調制御のために、バッテリ-を負荷としたシミュレーション手法を開発中である。
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