研究概要 |
風エネルギーは、自然エネルギーの中の波力や太陽光などと同様、クリーンで安全であるが、変動が大きく一過性であるのが最大の欠点である。従って、それらのエネルギーを有効的に抽出するための手法を検討することが重要となる。 そこで、シミュレーションにより風エネルギー有効利用の制御法を検討するには、対象となる風力発電システムの正確なモデルが必要となる。このため、協調運転群制御の基礎として、風車の新しいモデル化手法を提案する。この方法は、エネルギーフローに着目し、風車に入力されるエネルギーは、風車から取り出せるエネルギーと損失エネルギーの和と考え、損失エネルギーを風速と風車速度で近似する方法である。また、風車発電システムは、一般的に非線形システムと考えられるため、ニューラルネットを使用したモデル化について検討し、その有効性を確信した。 次に、協調制御性を実験的に確認するための風車発電システムのシミュレータの開発を行った。このシミュレータは、風車の動きをコンピュータのプログラムにより制御し、風車の回転と同じになるように直流電動機でシュミレートするものである。発電機は、直流発電機を使用しているが、交流発電機(誘導機や同期機)に置き換えればそのまま使用可能である。 最後に、協調制御による発電機の出力制御に関し、代表的な3種類の制御手法について検討した。第一番目は、適応制御の中の山登り法であり、この方法は発電システムの特性を知ることなく、発電機の端子電圧と電流を計測することで常に最大出力を追従させる事が可能である。第二番目は、ファジィ推論を用いた制御法である。これは、風速と風車速度をファジィ推論の入力とし、最適な負荷抵抗を推論する方法で、経験的に制御手法を推論ルールに組み込める特徴がある。第三は、計測風速と風車速度から発電システムの特性をこのように推定し、最大出力が得られる条件になるよう制御する方法である。 このように、複数台の風車で,それぞれ異なった種類の発電機から,エネルギーを効率よく取り出すための発電機協調運転群制御法の一端を検討し,日本における実際的な風エネルギー利用に少しでも貢献できるのではないかと考えられる。
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