研究概要 |
サブ原子層単位ディジタルエピタキシ-法は、成長ガスのパルス照射と、表面熱励起による吸着原子(Si、Ge)の表面泳動を1サイクルとして、1サイクル毎にサブ原子層を成長する研究代表者らが提唱したディジタルエピタキシ-技術である。この成長法をサブ原子層エピタキシ-(SALE,subatomic-layer-epitaxy)法と名付けている。本研究では、はじめに、表面励起に基板の自己抵抗加熱とAr+レーザー照射を組み合わせて用い、成長特性の把握を図った。その結果、表面励起時の表面温度により水素脱離律速成長、自己飽和吸着律速成長、過剰表面泳動を伴う成長、の3つの成長モードが得られることが判った。自己飽和吸着律速成長モードでは、100Åの成長膜厚当たり±2^〜3Åの平坦度が得られ、Siの表面泳動による原子レベルの平坦化機構が働くことがわかった。また、この自己飽和吸着律速成長モードでは、表面励起時の表面温度がある範囲に渡って、成長速度(1サイクル当たりの成長膜厚)が一定になる表面温度の窓(window)が得られた。この窓の範囲は26±6℃であった。表面励起時のレーザ照射パワーを変化させたときも、成長速度が一定になる照射パワーの窓(0.28±0.08W)が得られた。この窓の範囲は25±7℃の表面温度の窓に相当すると解析され、レーザー照射が、熱励起効果として働いていることが確認できた。以上、SALE法の成長速度や成長モフォロジー等の成長特性、および成長モードについて定量的に把握できた。また、これらの結果、および既に報告しているRHEED(反射型高速電子線回折)解析による結果から、SALE法の原理、平坦化機構、成長モードのモデル化を行った。
|