研究課題/領域番号 |
08650376
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
電子・電気材料工学
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
田中 昭 静岡大学, 電子工学研究所, 助教授 (50022265)
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研究分担者 |
木村 雅和 静岡大学, 電子工学研究所, 助手 (50177929)
助川 徳三 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (30006225)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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キーワード | 混晶半導体 / 液相成長 / 組成変換 / 赤外受光素子 |
研究概要 |
InAsSb混晶は中赤外デバイスの開発に最適な材料であるが、デバイス構造の構築に必要不可欠な格子整合系の下地基板の作製が困難であった。この問題を克服するために、既存の結晶基板上に任意の格子定数を持つ混晶層を成長させることのできる「組成変換法」をInAsSb混晶系に適用することを目的として実験を行った。まず、高融点InAs結晶基板上への低融点InSb結晶層の成長を初めとする実験によって、次のような結果を得た。 1)成長温度が低い場合には島状の成長となり易く、組成変換に使用するための層状成長が難しい。 2)層状の成長層を得るためにはある程度の高温で成長させる必要がある。InAs基板上へのInSb成長の場合、390℃から440℃の間で良好な層状成長の得られること等が判った。 次に成長させた低融点結晶層と混晶成長溶液とを接触する組成変換の実験をおこなった。その結果、 1)低融点結晶中への高融点成分の拡散は非常に速く、約5分程度で組成的な変換はほぼ完了する。 2)高融点基板は結合力が強く、こうした変換によって影響を受けることはない。 3)組成的な変換に引き続き、組成の均一化と結晶構造の修復とが進行する。 4)変換混晶の組成は用いた溶液との平衡組成に近く、溶液組成の調整によって任意に制御できる。 こうして得た混晶層を基板として、この上への格子整合混晶の液相成長を試みた。その結果、 1)変換混晶層上に成長させた混晶層は、変換のみの混晶層よりも結晶学的完全性がより向上する。 2)発光強度も強くなり、光デバイスに応用できる品質の混晶層が成長できる。 以上のように本研究によって既存の結晶基板上に任意組成のInAsSb混晶層を成長させる技術に見通しが得られた。これを基に種々の成長技術によってデバイス構造を作製すれば、中赤外の光領域の特徴を発揮した情報通信や公害監視の新しい光システムが構築できるものと考える。
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