研究課題/領域番号 |
08650377
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
奥田 高士 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (60233459)
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研究分担者 |
安達 信泰 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (90262956)
大里 斎 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (20024333)
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キーワード | 反応性イオンビームスパッタ法 / 多結晶ビスマス鉄ガ-ネット / 熱処理結晶化 / ファラデーヒステリシス曲線 / コバルトフェライト / 複合膜 |
研究概要 |
(1)純物質Bi_3Fe_5O_<12>(BIG)の非エピタキシャル結晶成長の研究 Gd_3Ga_5O_<12>組成と3Bi_2O_3・5Fe_2O_3組成をもつ焼結ターゲットを用いて、交互イオンビームスパッタ(RAIBS)法により石英ガラス基板上に500°Cで製膜した。各層の厚さを1単位胞以下まで薄くすると格子定数12.548Åの多結晶膜が得られた。組成比はBi:Gd:Fe:Ga=1.87:1.24:3.38:1.57であった。GaがFeと置換して磁気補償組成に近い。このため膜は常磁性を示し、光吸収係数が大幅に低下した。この膜を下地としてBIGを蒸着し、格子定数12.62Å、粒径0.04μmのBIG多結晶膜を得た。すなわちBIG成長に不可欠なガ-ネット下地層形成のための熱処理結晶化プロセスを省略して、石英基板上に多結晶BIG膜を合成する連続製膜プロセスを開発することができた。 (2)BIGを主相とする複合化膜の研究 BIGの磁気および光学特性を変調する目的で、RAIBS法によるCoド-ピングを研究している。Co源とBIG組成ターゲットとのスパッタ時間比率Rをパラメータとした。CoOをCo源とした場合、CoOスパッタ比率を増すとガ-ネット(G)相が検出されなくなり、飽和磁化が極大を示し、保磁力は単調に増大し飽和した。波長633nmにおけるファラデー回転(θ_F)は単調に減少した。CoO比率の小さい場合G相しか検出されないが、波長633nmでのファラデーヒステリシス曲線は、飽和状態から磁場を減じると、磁場が0に到達する前にθ_Fの符号が逆転した。Co源にCoFe_2O_4および金属Coを用いた場合にも同様な現象が見いだされた。波長1.5μmにおけるθ_Fの符号はCoFe_2O_4のそれと同じであった。以上の結果からRAIBS法でCoをBIG膜中に導入すると、Coが非常に微細なCoFe_2O_4粒子として分散した複合膜となり、応用面からも興味深い特性を示すことが分かった。
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