本年度は、次の3つの場合における液体窒素流動の効果を自然対流時と比較・評価した。 1.棒-平板電極系における液体窒素の絶縁破壊電圧 2.平行平板間に挾んだ円柱状アクリル樹脂の沿面放電電圧 3.棒-平板電極間に挾んだポリエチレンフィルムの部分放電を介した絶縁破壊までの寿命 および部分放電特性 液体窒素の流動は、気泡が発生しやすい熱的な方法に依らず、液体窒素タンクの加圧により液体窒素を電極系を設置した容器内に送り込むことにより行った。 得られた結果を以下に示す。 1.液体窒素自体の絶縁破壊電圧は、流動時の方が自然対流時に比べて高くなる。 2.液体窒素流動時のアクリル樹脂の沿面放電電圧は、自然対流時に比べてやや上昇する。 3.液体窒素中の部分放電を介したポリエチレンフィルムの絶縁破壊までの寿命は、液体窒素を流動させた方が長くなる。 4.液体窒素流動時の方が、部分放電電荷量と部分放電発生頻度は小さくなる。 5.以上のことから、液体窒素の流動により部分放電の発生および進展が抑制されるため流動時の電気絶縁性能が向上するものと考えられる。 6.今回実験した流速の範囲内では、流速の効果は認められなかった。流速を狭い範囲で変化させたためと推定される。
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