研究概要 |
本年度は,高分子/液体窒素複合絶縁系の部分放電劣化に及ぼす液体窒素流動の影響を調査するため,以下の要領で実験を実施した.部分放電解析装置を援用して,部分放電諸量の定量的評価も同時に行った. 電極系:棒対円板電極系 試料:ポリエチレンフィルム;単層(100μm1枚)および積層(60μmと40μmを1枚ずつ重ねたもの). 液体窒素の状態:強制流動状態(約30cm/s)および自然対流状態.液体窒素の流動は,気泡が発生しやすい熱的な方法に依らず,液体窒素タンクを加圧して液体窒素を容器内に送り込むことにより行った. 測定項目:絶縁破壊までの寿命,部分放電開始電圧,放電電荷量,放電パルス数 得られた成果は以下の通りである. 1.液体窒素流動時の方が自然対流時に比べて部分放電を介した絶縁破壊までの寿命が長い. 2.放電開始電圧は,液体窒素流動時の方が高い. 3.放電電荷量および放電パルス数は,液体窒素流動時の方が少ない. 4.自然対流時には放電は定常的に発生しているが,液体窒素流動時には放電が消滅する場合がある. 5.フィルムを積層にした場合でも,同様の現象が認められる. 6.以上の結果を総合的に判断すると,液体窒素流動により部分放電の発生および進展が制御されるため流動時の電気絶縁性能が向上するものと考えられる.
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