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1996 年度 実績報告書

微細共鳴トンネル素子を用いた波動関数測定に関する理論的研究

研究課題

研究課題/領域番号 08650380
研究種目

基盤研究(C)

研究機関大阪大学

研究代表者

森 伸也  大阪大学, 工学部, 講師 (70239614)

研究分担者 百瀬 英毅  大阪大学, 低温センター, 助手 (80260636)
森藤 正人  大阪大学, 工学部, 助手 (00230144)
濱口 智尋  大阪大学, 工学部, 教授 (40029004)
キーワード量子ドット / クーロン相互作用 / 電子フォノン相互作用 / トンネル現象 / 共鳴トンネル / 厳密対角化法 / 半導体ヘテロ構造 / 単電子素子
研究概要

本年度は,半導体ヘテロ構造中に作製された量子ドットにおける電子状態を厳密対角化の方法を用いて求めるプログラムを作成した.量子ドットのモデルは,界面に沿った方向には,円形ポテンシャル,楕円形ポテンシャル,または,三角形ポテンシャルで閉じ込められ,界面に垂直な方向には井戸型ポテンシャルで閉じ込められたモデルを採用した.作成したプログラムでは,電子数Nが15個までの電子状態が計算できる.
計算により求めた電子状態を用いて,
・電子が音響フォノンと相互作用をおこない緩和する過程
・量子ドットにトンネル障壁を隔てて金属電極を設けた場合に流れるトンネル電流
に関して理論的検討をおこなった.その結果,以下のようなことがわかった.
量子ドット内の電子数が1個の場合,そのエネルギー準位は閉じ込めエネルギー程度間隔で離散的に存在するため,音響フォノン緩和過程が抑制されることが知られている(フォノン・ボトルネック効果).しかし,量子ドット内電子数が増えると,電子間のクーロン相互作用のため,エネルギー準位が密になってくる.この効果を考慮に入れると,エネルギー準位の間隔が密になった分,緩和が速く起こることがわかった.また,(多電子系の)励起状態から基底状態へと緩和する過程を考えると,音響フォノンを1個放出して,直接,基底状態へと緩和する過程より,音響フォノンを複数個放出して緩和する過程の方が速い場合があることもわかった.
量子ドットにトンネル障壁を隔てて金属電極を設けた場合に流れるトンネル電流,電極層と量子ドットにおける波動関数の重なり積分に注目して解析した.簡単のため電極層の電子間の相互作用は考慮に入れていない.円対称の量子細線電極と,円対称量子ドットとを接合すると(細線とドットの閉じ込めポテンシャルは,一般に,異なるとした),電極間に印加する電圧(をエネルギーに換算したもの)より,電極のフェルミエネルギー付近における準位間隔が広い場合は,波動関数の対称性により,N電子系のすべての基底状態が電流に寄与するとは限らないことがわかった.また,フェルミエネルギー付近における準位間隔が十分小さい場合,N電子系のすべての基底状態は電流に寄与するが,その寄与の程度は,電極のフェルミエネルギーに非常に敏感であることがわかった.

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] K.Moriyasu,S.Osako,N.Mori and C.Hamaguchi: "Effect of quantum confinement and lattice relaxation in GaAs/In_<0.2>Ga_<0.8>As/GaAs quantum dots" Japanese Journal of Applied Physics. (1997)

  • [文献書誌] J.G.S.Lok,A.K.Geim,J.C.Maan,I.Marmorkos,F.M.Peeters,N.Mori,L.Eaves,P.McDonnell,M.Henini,J.W.Sakai,P.C.Main: "Resonant tunnelling through D^-States" Surface Science. 361/362. 247-250 (1996)

  • [文献書誌] T.Fukuda,K.Yamanaka,H.Momose,N.Mori,C.Hamaguchi,Y.Imanaka,Y.Shimamoto and N.Miura: "Cyclotron resonance in short period (GaAs)_n/(AlAs)_n superlattices" Surface Science. 361/362. 406-410 (1996)

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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