研究概要 |
平成8年度テーマのなかで窒化物薄膜作製におけるイオン照射の影響について調べた。AlN膜を中心に行ったが、その結果AlN膜の結晶成長にイオンの照射の影響は大きく、圧電膜としての使用に耐える膜作製に大きく影響することが明らかになった。この原因がAlN膜の電子の帯電にともなうイオン衝撃にあることを示した。(これについて1996年度強誘電体応用会議(京都)とIMCTF(サディエゴ)において発表した。)今後はより明確なイオン照射の効果を調べるためホローカソード銃により照射するイオン電流を変化させその影響をみる。第2のグループでは酸化亜鉛系の透明導電膜成長における成分元素のひとつのターゲット以外からの成分供給時の膜特性について調べた。たとえば亜鉛を余分に供給することで結晶化が進み、結晶性に改善がみられ、それによるキャリア密度の増大、移動度の増加により、現在報告されている最も低い抵抗率の薄膜がえられた。条件的にはそれほど厳しいものでないため、この結果は結晶性増大が抵抗率低下に効果があり、その中で亜鉛の過剰供給状態は重要な膜成長要因であることを示している。同様にアルミニウム原子を他のターゲットから供給することも低抵抗化に効果があることを見い出した。当初予想していたカソードルミネッセンスは導電膜では発光しないことが確認され、これによる結晶性評価はできなかった。これらは1996年度IMCTF(サンディエゴ)国際会議とAVSのNational Symposiumで発表した。第3グループのITO膜をc軸配向した窒化アルミニウム膜上に作製してみる実験は、キャリア密度は増大下が、移動度の低下があり、結果2/3程度の抵抗率の減少となった。これに関してはTrans.of the Materials Research Soc.of Japan,Vol.20,1996,pp.554-557で報告した.
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