研究概要 |
ナノコンポジット磁石の磁気特性と微細組織の関係を計算機シミュレーションした結果 (1)結晶粒間の交換相互作用が均一である場合には,ばらつきがある場合に比べて,優れた磁気特性が得られる. (2)結晶粒径がクリティカルな結晶粒径より大きくなると着磁特性が悪化する. (3)結晶粒径がクリティカルな結晶粒径より小さくなるとリコイル特性が悪化する. (4)結晶粒径の制御のみでは,着磁特性とリコイル特性を両立した材料を得ることは難しい. が明らかになった.この結果に基づいて種々Nd-Fe-B系ナノコンポジット磁石を作製し,その磁気特性を測定した. その結果は (a)非晶質Nd-Fe-Si-B合金を結晶化し,硬質Nd_2Fe_<14>B結晶粒と軟質Fe_3B結晶粒の粒間に非晶質Fe-Si-B相を残存させ、粒間交換相互作用を均一化させることにより,磁石特性の改善を試みた.しかしながら,適当な結晶粒径と適度な残存非晶質相の量を両立できず,特性の改善は達成されなかった. (b)非晶質Nd-Fe-B合金の結晶化温度を制御することにより,着磁特性に優れたナノコンポジット磁石とリコイル特性に優れたナノコンポジット磁石を作り分けることができた. と要約される.
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