研究概要 |
タングステンブロンズK_3Li_2Nb_5O_<15>系単結晶を,原料組成0.342K_2O-0.175Li_2O-0.483Nb_2O_5(融液A)と0.348K_2O-0.187Li_2O-0.465Nb_2O_5(融液B)を用いて育成した.非コングルエント融液なので,引き上げ速度は2-3mm/hにした.底からクラック発生のないように結晶末尾を絞り込んでから融液から切り離さなければならない.それぞれの融液から育成されたA結晶とB結晶の組成を,化学分析と電気特性で判断した結果,前者は0.31K_2O-0.14Li_2O-0.55Nb_2O_5となり,後者は0.315K_2O-0.15Li_2O-0.535Nb_2O_5となっている. A結晶のキュリー温度は約370℃,電気光学定数r^T_<33>は35±pm/Vであり,B結晶のキュリー温度は約436℃,吸収端は約376nm,420-800nm範囲内の吸収係数は0.3cm^<-1>以下,電気光学定数r^T_<33>は66±5pm/V,r^T_<31>は8±2pm/V,r^T_<42>は87±5pm/V,(すべてλ=633nm),非線形光学定数d_<31>≒1.3d^<LN>_<31>(λ=1064nm)である.B結晶の屈折率を最小偏角法で測り,常光線のn_oと異常光線のn_eともセルマイヤーの分散式によくフィットした.n_oはあまり温度に依存しないが,n_eは温度上昇に伴い大きくなる.屈折率からこの結晶は室温での第二高調波発生(SHG)の限界波長は461nmであり,425nmのSHGには,Nbが52mol%になるまで組成の調整が必要である. 本研究では,約300gの融液から育成された15gの単結晶の組成ずれを調べたところ,わずか0.5mol%程度だと判明された.SHG実験結果により,6cm長の単結晶に対して,組成ずれは0.01mol%以下が望まれる.そこで,現有の引き上げ装置を連続チャージ装置に改造し,育成中に固化された結晶の分に相当する原料を連続的に投入することにより,融液の組成がキ-プできた.この方法で育成された単結晶は,組成のずれがあまりない.
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