今年度の研究により以下の成果が得られた。 (1)高温における空間電荷分布測定装置の開発 従来の空間電荷分布測定装置では圧電素子として90℃程度の高温では出力が低下するポリふっ化ビニリデン(PVDF)フィルムをセンサとして用いていたが、今年度は高温でも出力の変化が少ない結晶性のニオブ酸リチウム(LiNbO_3)をセンサとして用いる測定装置を開発した。この装置の特性を調査し、室温から100℃の温度範囲での使用が可能であることを確認した。 平板電極型ケーブル用空間電荷分布測定装置の開発 従来のケーブル状試料用の測定装置では、ケーブル外径にあわせて作製した扇形電極を用いていたため、種々の外径を有するケーブルを測定する場合は、ケーブル外径にあった扇形電極をその都度設計、作製し、交換する必要があった。今年度の研究では、平板電極を用いた装置を開発し、電極を交換する必要のない装置を開発した。この際、測定に十分な出力を得るためのセンサのサイズを算出し、実際に作製した装置で十分測定が可能なことを示した。 (3)8kV高電圧ナノ秒パルス電圧発生器の開発 従来のナノ秒パルス電圧発生器は波高値が4kVであったため、3〜6mmの絶縁体厚さを有するケーブル状試料しか測定が出来なかったが、今年度は8kVのパルス発生器を開発し、9mmの絶縁体厚さを有するケーブル試料の測定をも可能にした。また、数100kVの超高圧を印加しながら空間電荷分布を測定できるように、長尺ケーブルにパルス電圧を印加できる手法も新たに考案した。
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