(1)同軸ケーブル用測定装置の開発 増幅器を完全にシールドし、ノイズを低減させ、従来の扇形電極から平板電極を有する測定装置を開発した。また、8kVのナノ秒パルス発生器を開発し、同軸ケーブル用測定システムに採用した。これにより、S/N比が向上し、従来、信号レベルが低く測定が困難であった厚い絶縁厚(9mm程度)を有する同軸ケーブルの空間電荷分布を研究室レベルで高電圧印加(40kV程度)で測定することが容易になった。従って、3〜9mm程度の絶縁体厚さを有する様々なケーブル状試料中の空間電荷分布測定を電極を交換することなく容易に測定できることを明らかにした。 (2)同軸ケーブルの電界分布算出手法の解析 同軸ケーブルで空間電荷分布を測定する場合、同軸形状に信号圧力波が広がること、パルス電界が試料に均一に印可されないことなどのために、電界分布を算出することが困難である。これを解決するためには、まず、ケーブル形状により歪められる電荷分布を補正し、電界分布を算出しなければならない。この電荷分布の補正手法を解析し、シミュレーションにより電荷分布が補正できることが確認した。 (3)同軸ケーブルの水トリ-検出手法の開発 電力ケーブルに発生する樹枝状破壊(水トリ-)の検出は絶縁劣化を診断する上で重要である。(1)で述べたように測定電極を扇型から平板型に変えたことで、測定領域が数mm幅せばまり、同一ケーブルにおける空間電荷分布の位置依存性を測定することが出来る。水トリ-はケーブル中に局在しているので、この装置を用いてケーブルの外周を捜査することにより、水トリ-検出が可能であることが示した。
|