研究概要 |
今年度は、これまで行ってきた磁界解析に基づき提案した磁気遮蔽を有する三相交流電流用開磁路型光CTについて、三相磁場の相互干渉に対する遮蔽効果の磁界シミュレーション、並びに試作した光CTについて実験的検討を行った。計算機シミュレーションでは、比透磁率数百程度の比較的低い透磁率の磁気遮蔽材により十分な遮蔽効果の得られることを示した。また、対象とする平型母線に発生する渦電流場は母線に接近して配置した内部遮蔽で効果的に減少させ得ることも併せて明らかにした。これらの結果はIEEE Transactions on Magnetics Vol.32に発表公開した。また、検討内容の基礎的部分はまとめて同雑誌に発表予定である。このシミュレーション結果を基に、今年度すでに光CTの試作を行った。その光CTによる交流電流波形の測定では5%程度の2次高調波が受光センサ出力に含まれてくるものの、電流量測定においては測定結果が0.5級計測器レベルの高い線形性を示し、試作光CTが実用的に十分期待できることを確認した。また、波形については受光機を検討することにより改善が可能であるとの見通しも得た。試作CTに関する実験結果はIEEE Transactions on Magneticsに発表を予定している。得られた成果の発表報告は、国内では電気学会マグネティクス研究会(96年度8,9,12月)、国外ではIEEE International Magnetics Conference(95,96,97年)で主に行った。 次年度平成9年は、ここまでの検討で問題が明らかになった光CTの光透過率の改善(光パワーの減衰率の改善)、及び磁界センサ部に用いている磁性ガ-ネット薄膜の温度特性の把握と改善に取り組む予定である。
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