研究課題/領域番号 |
08650403
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
宇佐美 興一 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (60017407)
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研究分担者 |
湯郷 茂美 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (80017392)
後藤 俊成 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (70017333)
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キーワード | 冷陰極 / MIS型冷陰極 / トンネルエミッション / トンネル効果 / ダイヤモンド薄膜 / DLC / 絶縁膜 / RFスパッタリング |
研究概要 |
ダイヤモンド薄膜は負性電子親和力をもつため、これを用いて低いダイオード電圧で高い電子放射(エミッション)効率が得られるトンネル冷陰極の実現が可能である。さらに、この膜は物理的にも化学的にも極めて安定であり、高信頼度のトンネル絶縁膜としても期待できる。今年度は、ダイヤモンド系薄膜の中でスパッタリング法で容易に形成できるDLC(Diamond Like Carbon)膜の冷陰極への応用の可能性について検討を行なった。その結果をまとめると次のようになる。 1.ダイヤモンド系薄膜の形成 ダイヤモンド系薄膜は作製法および形成条件によって、ダイヤモンド結晶膜からDLC、グラファイトまで、様々な状態の薄膜が得られる。ここでは、DLC膜をSi基板上にRFスパッタリング法により形成した。その結果10-100nm範囲で厚さをスパッタリング時間で精度よく制御できることがわかった。 2.ダイヤモンド系薄膜の絶縁膜としての評価 Si基板上に形成したDLC薄膜を、トンネル冷陰極のトンネル絶縁膜としての評価を行なった。スパッタリング条件、特にRFパワー、基板温度、ArガスとH_2ガスの混合比によって得られた膜の性質が変化することが知られており、膜の抵抗率および絶縁耐圧の測定、赤外線吸収の測定等により堆積条件の最適化を行なった。室温でH_2を0.5%加えたとき1.3×10^9Ω-cmの抵抗率が得られた。この絶縁膜を用いてMIS型冷陰極を作製したところ、ダイオード電圧7.5Vで105pA/mm_2の真空中へのエミッション電流が得られた。 3.エミッション測定用真空チャンバの改良 ターボ分子ポンプの制御系からのパルス性雑音が電流測定時に問題となっていた。今回は排気系をイオンポンプに代え、さらにエミッションを測定するコレクターの位置を真空微動装置で変化できるように改善した。
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