研究概要 |
ショットキトンネルトランジスタは、将来の1電子の輸送を問題にするデバイスと現在のMOSFETの延長線上にある超小形化デバイスの中間に位置し、現在のMOSFETの超小形化伴う短チャンネル効果を克服できるので、ブレークスルーとなると考えている。ショットキトンネルトランジスタの製作プロセスの検討と、ゲート酸化膜厚のデバイスの電流I-電圧V特性への影響と耐圧及びしきい値電圧依存性への影響の検討をする上で、研究室で取り扱うためにゲート酸化膜厚の薄いことに基づくゲート電圧の耐圧の問題がクローズアップされ、先ずは、これを検討すると共にその対策が必要になった。これを含めた次の3項目を検討し、その成果が得られた。 1.ツエナ-ダイオードの形成によるゲート酸化膜の保護 Sio2ゲート酸化膜が200-500Åと薄いため、研究室での実験上、ゲート酸化膜の耐圧に対する保護が必要であった。このためゲート電極とアノードとの間にツエナ-ダイオードをモノリシック形成し、10V以上の電圧ではシャントされるように構造を改良した。n型シリコン(n-si)基板にnpnトランジスタ構造ではあるが、これをツエナ-ダイオードとして利用する。熱拡散工程で形成しているが、約10V程度の逆耐圧のダイオートが形成されるようになり、ゲート酸化膜は大きい電圧に対して保護できるようになった。 2.デバイス製作プロセスを考慮したショットキ金属の選択及びゲート金属の選択 ショットキ金属として、Crシリサイド、Niシリサイド,MoシリサイドおよびPtシリサイドとを比較した。金属シリサイド形成は、それぞれの金属をスパッタ堆積させ、その後合金化させる方法を用いた。白金シリサイド以外はセルフアラインによるゲート電極とショットキ金属との分離が困難であった(シリコンの金属側への拡散による)。従って、白金シリサイドの方が安定なデバイスの電流I-電圧V特性が得られることが判明した。白金シリサイドとのエッチ液などの組み合わせで、ゲート金属として、Moシリサイドを選択した。 3.ショットキトンネル電流のモデル化のためのゼロバイアス付近でのショットキトンネル電流の実験的検討 ショットキ金属としてMoシリサイドとPtシリサイドとを用いて、ショットキ界面付近にn型不純物濃度を拡散によりドープしたときのゼロバイアス付近のショットキトンネルダイオードとしての電流I-電圧V特性の温度依存症をアレニウスプロットにより検討し、室温付近以下ではトンネル電流が主流であろう推定された。 今後、2次元シミュレーションによるデバイス評価及び実験との比較検討、共通アノードの複数個のデバイス作成と素子分離技術の確率などを行う予定だある。
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