ショットキトンネルトランジスタは、将来の1電子の輸送を問題にするデバイスと現在のMOSFETの延長線上にある超小形化デバイスの中間に位置し、現在のMOSFETの超小形化に伴う短チャンネル効果を克服できるので、ブレークスルーとなると考えている。平成8年度は 1.ツエナ-ダイオードの形成によるゲート酸化膜の保護 2.テバイス製作プロセスを考慮したショットキ金属の選択及びゲート金属の選択 3.シヨットキトンネル電流のモデル化のためのゼロバイアス付近でのショットキトンネル電流の実験的検討 について研究し、ショットキトンネルトランジスタの基本動作を確認し、予想されるようにショットキトンネルダイオードの接合上にMOSゲートを構成する最も単純で従来のMOSFETの超小形化に伴う短チャンネル効果を克服できることを確認した。しかし、ULSIにおけるDRAM用のトランジスタとして使用する場合には、その相互コンダクタンスGmがまだ小さいという問題がはっきりしてきた。そのため、平成9年度は、 1.相互コンダクタンスGmが小さい理由の検討 2.MOSゲート電圧Vgの印加によるシヨットキ障壁の高さをも変化できる構造の検討 3.Gmの大きい新しいMOSゲートショットキトンネルトランジスタの構成と実験 について研究した。この新構造のショットキトンネルトランジスタでは、n型半導体基板表面に高濃度のn型不純物を拡散し、この領域にショットキトンネル障壁を作るが、このトンネル障壁界面にアルミニウムの拡散合金により3nm程度のp+不純物層を形成させ、この層を可変障壁高さの層として利用する。アルミニウムの拡散合金では、合金温度の制御により、再現性良くp+不純物層の細かい層厚の制御ができる。ショットキ金属としてコバルトシリサイドを用いた。その結果、3極管特性を示す予想されたMOSゲートショットキトンネルトランジスタが誕生した。
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