研究概要 |
1点代数曲線符号の設計距離までの高速復号法として最近提案したものは従来型計算機上での直列アルゴリズムであったが、本研究の主眼である同復号法の並列処理化を可能とするシストリックアレイ・アーキテクチュア、および、その上で働く高速並列アルゴリズムの構想は一応でき上がり、論文としてまとめつつある。また、その一環として平成8年7月、Austria(Europe)のLinz市郊外、RISC(記号処理研究所)において開催された国際研究集会IMACS-ACAに参加し、高速復号法の直列アルゴリズムの理論と併せて並列アルゴリズムの基本的な考え方を発表した。さらにその後の展開を含めた内容を平成9年7月に開催される1997 IEEE International Sysmposium on Information Theory(ISIT-97)において発表する予定である。現在の構想の結果は、時間および空間を併せた全計算量(複雑性)について必ずしも最適なものではないが、時間に関して線形のオーダーΟ(n)の計算量を達成し、他の研究者の成果[R.Kotter,A fast parallel implementation of a Berlekamp-Massey algorithm for algebraic-geometric codes,On Algebraic Decoding of Algebraic Geometric Codes and Cyclic Codes,Dissertation of Linkoping University,§3,1996]の時間計算量Ο(n^2)と比較して一段と優れている。 他方、本研究課題と関連の深いテーマについても並行して研究を進め、電気通信大学紀要および電子情報通信学会英文論文誌に発表した。前者は、今までは専ら硬判定に対する誤り訂正のみを考えていたのに対し、消失と誤りの両方とも訂正する軟判定復号の高速化を扱い、後者はランダム誤りだけでなくバースト誤りの訂正も目指すものである。なお、前者については Technical University of DenmarkおよびAuburn Universityの研究者との共著論文を作成中であり、やはりISIT-97において発表する予定である。これらの直列アルゴリズムも並列化が可能であると考えられ、今後このような拡張も含めて高速並列アルゴリズムを構築していくつもりである。
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