研究概要 |
マイクロ波帯における発振器とアンテナとを一体化した能動集積アンテナにおいて、発振周波数および放射方向などを光信号によって制御する研究を行った.発振回路の能動素子としてFETを用い,アンテナとしてはマイクロストリップパッチアンテナを採用した.FETに光を照射することにより発振状態が変わるので,1素子の場合には発振周波数が変化し,また多素子からなるアレーが空間への放射波を通じて弱結合して同期発振している場合には発振の位相関係が変わることになり,結果として放射パターンを変化させることができる. 光源としては近赤外半導体レーザを用い,ストリップパッチは円形のものを用いた.この構造は矩形パッチより交さ偏波特性が良好であるとされている.またFETをアンテナパッチの上に直接装荷する形のものとし,発振回路からアンテナへの給電回路を省けるようにしてある. まず1素子のアンテナについて,放射ビームの方向,放射強度,交さ偏波特性などのアンテナの諸特性,ならびに発振スペクトルを測定し,さらに光照射した場合の発振周波数の変化を測定した.その結果最大放射方向を中心として±20度の範囲では交さ偏波レベルが主偏波レベルより10dB以上小さくなること,発振周波数は0.2mW以下の光電力で70MHz以上変化すること,発振スペクトルおよび放射パターンは光照射によって変化がないことなどがわかった. 次に2素子を逆相で同期発振させた場合の放射パターンを測定し,その照射光依存性を調べた.その結果放射ヌルの方向が19mWまでの光により20度以上走査することができ,発振の位相差が光により変化することが確認できた.
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