研究概要 |
本年度は以下の計画に従って理論的に問題を整理し,解析用計算手順を確立した.また,種々の分野で研究された結合振動子モデルと電気回路による結合発振器モデルとの相似性を調査し,具体的には少数個の発振器(2個,3個および4個)が結合した回路モデルの同期現象の同期のメカミズムおよびカオス現象への分岐の構造を解析した.また,モデルから電子回路構築のための試験的研究を遂行した.これらは,対称性を表す群論的手法によって効果的に解析できることを検討した. (1)不変部分空間を得るための座標変換を見いだす研究 系の構造の違いによって対称性のタイプがことなるので,回路の構造毎に適当な座標変換を見いだし不変部分空間の構成および各部分空間内での運動方程式を求める必要がある.数学的には有限群の線形表現の理論が応用できる.この場合複素線形空間を用いる理論は完成されているがこれを実線形空間に翻訳し具体的に応用可能とする必要がある.これらの変換手法を確立した.特に少数個の発振器の周期振動について分類方法を確立した.また,各種分岐現象の分岐条件と系の構造の関係を明らかにし,計算の手順を確立した(分担者:川上,吉永) (2)化学反応系(たとえば,塩水・真水振動系,B-Z反応系など)に関する複数個の結合反応系のモデル方程式を導き,各反応系が同相又は逆相で同期する現象の結合部が果たす機能を解析した.解析は川上の現有設備であるワークステーションを用いて行なった.回路シミュレーションは,川上が現有設備を用い電子回路を製作して行なった.(分担者:川上,上田)
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