研究概要 |
最近,計測分野でのセンサ・フュージョンの考え方にみられるように,多数のセンサを用いて,測定対象から多くの情報を同時に精度良く得る技術が重要になっている.しかし,このとき各センサによって得られる信号には,複数の信号源の信号が混じり合ったものが観測される.測定対象からセンサまでの伝達特性が分かっていれば,その逆変換を行うことによって,観測信号から源信号を復元することができる.しかし,実際には,この伝達特性が分からない場合が多い.このような場合に,信号源の信号が統計的に互いに独立であると言う情報のみを手掛かりに,観測信号から源信号を推定する研究が最近注目され,ブラインド分離(blind separation)と呼ばれている.通信の分野でのブラインド等化器もこの範疇に入る.我々は,まず,通信の分野でGodardが提案したブライド等化器に対する手法を一般化した.この手法は,従来,困難であった位相復元能力をも有している.さらに,一般的なブラインド分離に対しても,従来,扱いが困難であったsuper-Gaussian信号(尖度が正)とsub-Gaussian信号(尖度が負)の両方が混在する源信号を分離する方法や,Newton法を用いた方法を提案した.後者の方法は,非常に収束が早いという利点がある.
|