研究概要 |
1.静止画像の領域分割法の研究 今年度はボロノイ図を用いた領域分割手法の開発と,その性能改善について検討を行った.本領域分割法は,各領域の交流電力を評価関数とし,その値が最小となるように各母点の位置を徐々に更新することにより,対象画像の内容に則した領域分割を実現している.上記の反復的な更新処理において,従来は極小解の影響によって領域分割の性能が低下するという問題があったが,その対策として,(1)母点の除去・追加に基づく適応的な再配置手法,(2)確率的な最適化手法であるsimulated annealingの導入,(3)縮小画像を用いた階層的な母点位置更新法等について検討を加えた.シミュレーション実験の結果,本領域分割法に基づいて再生された補間画像は,(1)〜(3)の対策を講じない場合と比較して同一符号化レートで最大2.5dB程度高いSN比を達成しており,その有効性が明らかとなった.更に,(4)領域分割処理に要する演算量の削減法や,(5)領域内信号成分の符号化手法に関する検討を開始しており,本年度の研究計画を遂行する上で有益な基礎的知見を得ることができた. 動画像の領域分割法の研究 本研究では,動き補償の性能向上を目的として,ボロノイ図を用いた領域分割手法の動画像への適用を図る.今年度は,平行移動モデルに基づいた動き補償を適用した際の予測誤差電力を評価関数として,(1)母点の位置と動きパラメータとを反復的に更新する基本アルゴリズムの開発を行った.また,(2)領域境界における不連続な歪を抑圧するオーバーラップ動き補償の導入,(3)動画像系列の各フレームに対する適切な母点数(領域数)と初期配置の設定法,(4)予測誤差信号の符号化を考慮に入れた動き補償の性能評価,等について検討を加え,提案方式が優れた符号化性能を示すことをシミュレーション実験によって明らかにした.
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