マルチスペクトル画像のウェーブレット変換による情報圧縮

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 08650446
• 研究機関: 金沢工業大学
• 研究代表者: 武部 幹 金沢工業大学, 工学部, 教授 (20019699)
• 研究分担者: 松村 秀逸 金沢工業高等専門学校, 電気工学科, 教授 (50064457)
• キーワード: マルチスペクトル画像 / ウェーブレット変換 / DCT / ベクトル量子化 / 有損失画像情報圧縮

研究概要

TMセンサによる7バンドのリモートセンシング画像の有損失情報圧縮を研究した。テスト画像として、金沢市北部の河北潟を中心とした画像を用いた。
1.3次元DCT-スカラー・ベクトル量子化 バンド6は他の6つのバンドと空間解像度が大きく異なるのでこれを除き、6つのバンドの画像のバンド間相関ならびに画像空間内の相関除去を3次元離散コサイン変換(DCT)を用いて行い、バンド6は単独でJPEGにより圧縮した。3次元DCTはまず各バンド画面をf8*8のブロックごとに2次元DCTし、その平面を6バンド並べ、バンド方向に同じ位置の係数の組を6次DCTした。得られた3次元DCT係数をF(i、j、k)、i:水平、j:垂直、k:バンド方向変数とする。性質の揃った係数を同一のステップで一様量子化するため、同一のi、j、kの係数を集めて1ブロックとする。直流係数はステップサイズ(ss)4で量子化、前置予測エントロピー符号化した。他はi+j+kの大きさ、つまり分散の大きさの違いにより、係数ブロックを5つのグループ(G)に分け、G1はss4、G2、3はss16、G4のssは可変、G5は切り捨てた。G1-3はスカラー・エントロピー符号化、G4は1*4のベクトル量子化(VQ)した。ビットレート1-1.8bppの範囲でbppが小さい程、小さい電力のベクトルを多く切り捨ててVQし、1.2bpp以上でPSNR33dB以上を得た。
2.ウェーブレット変換と空間域差分画像の量子化 バンド6を除いて、平成8年度と同様バンド2をウェーブレット変換し、他バンドとバンド2の差分画像を作った。差分画像について1.で述べた3次元DCT、スカラー・ベクトル量子化を行い、1.より1.2-1.6bppの範囲で0.3dB PSNRが改善された。

研究成果

• [文献書誌] S.Matsumura, F.Murata, T.Takebe: "Perfact Recoustruction Two-CH Linear Phase IIR Filter Bank with Quasi Power Complementary Characteristic" IEICE Trans.Fundamentals.E-80A・8. 1403-1409 (1997)
• [文献書誌] S.Matsumura, F.Murata, T.Takebe: "Perfact Recoustruction Two-CH Linear Phase IIR Filter Bank with Quasi Power Complementary Characteristic" Proc.of the 1997 European Conference on Ciruit Theory and Desigu. 2. 543-548 (1997)
• [文献書誌] 田村景明, 松村秀逸, 武部幹: "電力相補特性を有する近似再構成直線位相偶数次IIRフィルタバンクの設計" 平成9年度電気関係学会北陸支部連合大会講演論文集. 1. 143- (1997)
• [文献書誌] 佐藤憲男, 武部幹, 松村秀逸: "3次元DCTを用いたマルチスペクトル画像の情報圧縮" 平成9年度電気関係学会北陸支部連合大会講演論文集. 1. 310- (1997)
• [文献書誌] 松村秀逸, 田村景明, 武部幹: "電力相補特性を有する近似再構成2-CH直線位相偶数次IIRフィルタバンク" 第12回ディジタル信号処理シンポジウム論文集. A1-2. 13-18 (1997)
• [文献書誌] 佐藤憲男, 武部幹, 松村秀逸: "3次元DCTを用いたマルチスペクトル画像の情報圧縮" 電子情報通信学会技術報告〔画像工学〕. IE97-180. 59-66 (1998)