マルチメディア通信の大衆普及の促進化を目指すマイクロ交換機分散網の研究において、インターネットをマルチメディア通信普及の促進剤に位置付けた研究を行った。インターネット向きマイクロ交換機分散網のアーキテクチャとして、(1)情報量の少ない上りのインターネットアクセスには信号回線を利用する案が有効である見通しを得た。具体的には加入者線においては64kbps速度のISDNのDチャネル信号を、タンデム回線には著者の考案であるセルベース信号方式を用いる方式とする。 (2)多量の情報転送が必要な下りのダウンロ-ディングには工夫が必要であり、ディジタル時間スイッチの多重読み出し技術を利用したインターネット配信アーキテクチャを考案した。具体的にはシーケンシャル書き込み、ランダム読出しを可能とする高速STM回線を利用して放送形式で配信する。また、T1段時間スイッチを利用して非対称の高速回線を構成する。本方式について今年度は評価を進め、100加入規模のマイクロ交換機では十分な性能を有し、考案が有効と評価できた。 また、一般利用の観点からのアーキテクチャの研究を引き続き進め、放送形式で送りだす情報を交換機内部で加入者毎に選択的に送りだす機構の必要性を見い出し、アーキテクチャの拡充を行った。マイクロ交換機の加入者回路に所定の加入者線に対応した情報を認識する機構を設け、選択的にダウンロ-ディングするアーキテクチャを考案した。
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