本研究の目的は交換機のダウンサイジング効果を利用して通信網の早期の革新化の施策と網およびマイクロ交換機システムの望ましいアーキテクチャを示すことにある。 本研究では、インターネット利用を大衆へのマルチメディア通信の普及施策に位置付け、マイクロ交換機分網をインターネット用アクセス網として利用する網および交換機の有効なアーキテクチャを明らかにした。具体的には基本構造として不特定に配置された多数の加入者を収容する観点からトリ-状の網を想定し、制御用にセルベースの共通線信号方式を考案した。また、加入者が直接アクセスするインターネットアクセス用一次ル-タの配置について、性能、経済性の観点からの対案比較検討を行い、加入者線マイクロ交換機にル-タを配置する方式が望ましいことを示した。また、情報量の少ない上りのインターネットアクセス手段として、加入者線ではISDNのDチャネル信号を、局間共通線信号にはセルベース信号方式を用いる。また、多量の情報転送が必要な下りのダウンロ-ディングには、ディジタル時間スイッチのシーケンシャル書き込み、ランダム読出しを利用した放送形型高速STM回線を利用したダウンロ-ディング方式を考案した。バースト的にデータが流れるインターネット利用において複数の加入者で回線共有が可能であり、経済的な多重法である。また、大衆が利用する情報を関係のない利用者に届かないようにする必要を見い出し、選択的ダウンロ-ディング機構の概念を提案した。この結果、高速で、回路規模が少なく、回線利用の多重度が高く、経済的となる。なお、ル-タ数が膨大となるが、オンチップ化可能なアーキテクチャであることから問題とならない。この方式は、非対称型高速ディジタル加入者線(ADSL)とも適合し、一般利用者が高速で、快適なインターネット利用を可能となる通信網の構築に有効となる。
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