流星バースト通信(MBC)によるデータ収集ネットワークプロトコルの一方式として、電力変化法を提案し、その有効性を理論面と実験面から確認を行った。これらの成果を、「流星バースト通信におけるプローブ電力と通信路特性の関係」という論文にまとめ電子情報通信学会に投稿し、審査を経て掲載された。電力変化法の概略は下記1に述べる。 また、1998年11-月17日〜11月18日に33年ぶりの大出現が予測された獅子座流星群について、流星バースト通信の観点から観測をおこなった。流星群の観測結果の概略を下記2に述べる。経費は主に論文の別刷り代と実験装置開発費および実験旅費に用いた。 1. 多くのMBCシステムでは、主局がプローブという探査信号を繰り返し送信し、端末はプローブの受信により通信路の発生を知るという方式が用いられている。多くの端末を有するデータ収集シ反テムでは、複数の端末が同時にプローブを受信した場合、その後に続くデータ転送は衝突のためにほとんど失敗する。そのため、最適な端末数でグループ化を行う方式がいくつか提案されている。その一方式としてプローブ電力を制御する電力変化法を提案した。電力変化法はプローブの電力を小さくすると端末がプローブの受信に成功する確率が小さくなることを利用してグループ化を行うもので、制御が簡単な上に継続時間の長い流星バーストを選択して利用できるという効果もある。 2. 獅子座流星群の観測は、静岡大学工学部の実験システムRANDOMを使用し八戸市(青森県)と浜岡町(静岡県)の間でパケットおよびトーン信号を送受することにより行った。この実験により、獅子座流星群の出現により通信路の発生は6倍となり流星の質量の分布は大きなものが多い事がわかった。しかし、通信路の継続時間平均は通常時に比べ1から2倍程度と大きな差が生じないこともわかった。この実験結果は3月に行われる電子情報通信学会総合大会で発表する。
|