研究概要 |
信号解析方式の適用分野は多岐に亘り、自然・生体現象に由来するものから情報・通信システムに関わる人工的なものまで含み、多様で複雑である。複雑性のなかで特に解析の困難なものとして、非定常性を有する信号があげられる。つまり、時間軸において変化しやすく、従来の定常性を仮定した理論及び方法では解析結果の信頼性が制限されるという問題があった。 本研究では、定常性を仮定した部分よりもむしろ非定常性の部分に情報があるという考えの基に、1996年度において行った方法論の研究を受けて、生体、通信における実データへの応用研究を行うとともに本科学研究補助金による研究の成果発表を中心に行った。 (1)変調モデルによる波形解析の方法論 非定常信号の位相情報も考慮した解析,特徴抽出方法の研究について電子情報通信学会英文論文誌にて発表を行った。 (2)非定常信号のスペクトル解析の生体信号への適用 睡眠時の脳波は時々刻々変化する非定常信号である。睡眠紡垂波などは継続時間が1秒に満たないものもあり、非常に変化しやすい。浅いREM睡眠,深いREM睡眠での睡眠紡垂波とアルファ波,デルタ波の関係を明らかにし、電子情報通信学会英文論文誌にて発表を行った。 (3)無線通信における音声信号への適用 無線通信における信号処理は、従来の有線回線と異なり、自然環境による歪やデータ誤りなど高雑音の対処が求められる。高雑音耐性のある広帯域符号分割多重化方式(Wideband CDMA:IS-665)について、ワシントン及びニューヨークで開催された米国標準化方式(TlPl委員会)に出席し技術報告を行った。また、電子情報通信学会誌において解説論文を発表した。
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