研究概要 |
1. 研究成果 本研究の最終目的は1998年7月に打ち上げられた火星探査機に搭載された超安定発振器より出力される約19MHzの信号を原振としたS,X帯送信機から送信された電波を地上の大型アンテナで受信し、受信信号のわずかの周波数変動の検出により火星の電離大気、中性大気の高度分布を求め、これを基に火星電離大気と太陽風との相互作用、中性大気と電離大気の相互作用、および砂嵐の電離大気、中性大気への影響などを調べることにある。このために1)8GHzおよび2.2GHz信号の20KHz帯への周波数変換システム、2)周波数変換された信号のA/D変換および変換データの蓄積、3)変換データからの電離大気、中性大気の算出、の3つの主要な作業が必要となる。本科研費においては、1)、2)の項目について地上系データ取得システムの構築のための仕様を諸外国の情報を基にメーカとの議論を重ねつつ作成し、この仕様に基づいて平成10年度に宇宙科学研究所臼田観測所研究棟に地上系を構築した。 2. 今後の研究項目、および展望 今後、探査機を用いての地上系に関する性能の検討、および火星大気算出の最終的な性能決定要因となる地球電離圏に関する評価が残されている。これまでの成果を以って2001年には太陽風加速領域の研究、2003年には月電離圏の検出、そして2004年には火星大気の観測を目指す。
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