聴覚障害者のための発声・発話練習機の開発とマルチメディア機器への拡張に関する研究

1998 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 08650469
• 研究機関: 明治大学
• 研究代表者: 鎌田 弘之 明治大学, 理工学部, 助教授 (40201438)
• キーワード: 聴覚障害 / 発声・発話練習機 / コンピュータネットワーク / データ共有 / プライバシ / 秘密通信 / 符号化 / ろう学校

研究概要

本年度は、当研究の完成年度として、過去2年の研究により移植した発声練習用音声分析プログラムの整備と、コンピュータネットワーク利用を想定したデータ通信機能の融合について検討した。
音声分析プログラムの整備では、以下の項目について検討した。(1) 従来のDSPを用いた音声分析法では、音声データを1サンプル取得するごとにある程度の処理プログラムを実行することができたが、パーソナルコンピュータ(以下、PCと呼ぶ)では、OSの処理能力の関係上、この操作ができない。本研究では、PCでの処理に適した音声分析アルゴリズムについて検討し、カオス信号生成用非線形ディジタルフィルタを応用した、新しい声帯の振動数検出プログラムを提案した。
(2) パーソナルコンピュータが内蔵している音声入出力装置は、1つのプログラムからしか使用することができない。したがって、スペクトルを観察しながら声帯の振動数を検出するには、1つのプログラム内で、両方の処理を行う必要が生じる.本研究では、使用者の要求に応じて分析したい音声処理プログラムを自由に編集し、画面上にレイアウトできる音声分析プログラムを開発した。
また、コンピュータネットワークを利用した発声練習プログラムに関しては、(3)コンピュータネットワークを利用することにより、いわゆるLL教室的な発声練習が可能となる様なネットワークプログラムを開発した。LL教室で教師が行うべき練習成果の確認に関しては、特化したプログラムにより行うのではなく、一般のインターネット閲覧ソフトウェアによりできるようなプログラム構成とした。また、本ネットワークシステムは、その応用として、すでに社会人となっている人のための遠隔指導が可能となることが予想できる。
(4) ネットワーク利用により、特に遠隔指導を行う場合、個人情報や指導に要する書類的あるいは金銭的契約が必要になることが予想される。これに対応するために、カオスを利用した秘密通信符号化について検討し、実用的な符号化法を提案した。

研究成果

• [文献書誌] 梅沢、土橋、鎌田、遠藤: "Chaos Signal Generator by IIR Digital Filters Including Nonlinear Functions and Its Application" IEEE,Proceedings of Kes'98. Vol.2. 1037-1040 (1998)
• [文献書誌] 土橋、梅沢、鎌田、遠藤: "Private Communication with Chaos Based on Nonlinear and Linear Digital Filters and Its Evaluation" 電子情報通信学会.Proceedings of NOLTA'98. Vol.3. 1089-1092 (1998)
• [文献書誌] 金子、鎌田、石田: "Fundamental Frequency Detection of Human Voice Using Nonlinear Mapping" 電子情報通信学会.Proceedings of NOLTA'98. Vol.3. 915-918 (1998)
• [文献書誌] 鎌田、石田、遠藤: "Fundamental Frequency Detection of Human Voice Using Nonlinear Mapping" 日本音響学会英文論文誌(E). Vol.19,No.6. 397-403 (1998)
• [文献書誌] 鎌田、金子、石田: "Periodicity Emphasis of Voice Wave Using Nonlinear IIR Digital Filters and Its Applications" 日本音響学会他.Proceedings of ICSLP'98. (CD-ROM). (1998)
• [文献書誌] 鎌田、梅沢、土橋、遠藤: "Chaos Signal Generator by IIR Digital Filters Including Nonlinear Functions and Its Application" IEEE.Selected paper of Kes'98. (印刷中).