研究概要 |
1)ヒメ鶉胚の心拍数成長パターン: 鶏胚の心拍数成長パターンと比較するため、卵質量約6gのヒメ鶉胚について、日令6日からふ化前日の15日まで、オ-ディオカートリッジ法により、心拍数を測定した。心拍数は約300bpmから350bpmへ漸増し、鶏及び日本産鶏(卵質量約10g)とも異なり、むしろ孔雀胚のそれに近いパターンを示した。今回の結果と過去において取得したダチョウを含む早成離巣性8種の家畜卵の心拍数(HR)パロメトリー特性は、HR=434・Mass^<-0.123>(Mass:卵質量,g)で示された。 2)孵卵初期の鶏胚心拍数成長パターンと環境酸素変化に対する心拍数応答: インピーダンスカ-ディオグラム法により、卵殻を取り去らずに心臓が形成される孵卵前期の心拍数を計測、これにより鶏胚の孵卵全期間にわたる成長パターンを明らかにした。空気中でコントロールの心拍数計測後、日令3日から9日の胚を10%及び100%酸素環境に曝し、心拍数の応答を計測した。低酸素環境における成長する胚の耐性、及び胚は空気中で最も速いリズムで心臓を拍動していることを明らかにした。 3)鶏胚心拍数の不規則性の発現: アコーストカ-ディオグラム法により、瞬時心拍数を孵卵後半連続測定し、心拍数の不規則性発現過程を計測した。この信号を処理した結果、心拍数のサーカディアンリズムは孵卵後期になっても認められなかったが、短い周期(0.5〜1時間)の比較的規則性のある心拍数変動が、日令14日前後に現れ始め、その後ほぼ連続して記録され、日令と共に変動巾が増大する結果を得た。カテーテル法で測定した血圧波形より得た瞬時心拍数パターンから、不規則性には基本的に4種のパターンが有り、それらの発現日令も異なることを確認した。アトロピン静脈投与により、自律神経機能発達との関連について重要な知見を得て、来年度の研究計画、実施に大きな展望を得た。
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