介護ロボット用非接触電力供給システムを構成する送電コイル群の形状や配置についてまず検討を加え、逆並列となる接続法において、通常の円形コイルを用いた場合に比べコイル群近傍においてのみ1桁近く強い磁界強度が得られること、また、コイルを埋め込んだ床面から上方にコイル直径程度以上離れれば磁界強度は速やかに減衰し、周囲の電磁機器に対するノイズ源とはなりにくい構造となる事を実験並びに計算によって示した。これは、基本的に開磁路構造とならざるを得ない非接触給電システムにおいても、構成の工夫により周囲への電磁的影響を低減できる事を示している。ついで、受電側を構成するカップリングトランスの構造について検討し、伝送電力量の値毎に適当な条件をみいだし、その条件に基づいて200Wをこえる電力伝送が可能であることを実証した。 さらに、ロボット直下位置検出法として送電コイルの漏れ磁界を検出するセンサコイルとリレーを組み合わせた方法を考案し、ロボット直下にある送電コイルのみ励磁するシステムを製作、その動作について確認した。 これらの検討結果を踏まえ、低速走行電気自動車を模擬負荷として用いた介護ロボット用非接触電力供給システムにおいて、実際に連続電力伝送が最高時速20km/hで可能であることを実証した。このことにより、同電力伝送システムの実現に関する基本的な技術的課題は概ね達成されたと考えられ、今後は具体的な適用事例毎に開発を展開することが必要と思われる。
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