フィードバック制御において、目標追従特性、外乱除去特性、特性変動の影響の低減化には感度を小さくすることであり、特性変動のもとでロバスト安定にするには相補感度を小さくすることである。しかし、感度と相補の和は1で、両者を同時に0にできない。そこで適当な重み関数を導入し、低周波では感度を低く、高周波では相補感度を下げロバスト安定な制御系を設計する2デイスク混合感度問題、ロバスト制御性能問題がある。これらは解析的に解けないので繰り返し計算が必要である。本研究の目的は、むだ時間系に対し効率のいい組織だった繰り返し計算法を与えることである。平成9年度は、むだ時間をもつ内部モデル制御系からの2デイスク混合感度問題の設計法を確立し、IJCの投稿した。オブザーバー+状態フィードバック制御からのロバスト制御性能問題の組織的繰り返し解法を提案し、第2回ASCCで発表した。また、むだ時間系の2デイスク混合感度問題の組織的繰り返し解法を確立し計測自動制御学会論文集に投稿した。むだ時間系のロバスト制御性能の効率のいい繰り返し解を提案し、IFAC LSS98で発表予定である。さらにむだ時間系の制御では出力側の感度だけで制御特性を完全に把握されないことがある。そこで出力側感度、相補感度の他に入力側感度を考慮した3デイスク混合感度問題を提案し、第2回ASCCで発表し、Mathematics and Computer in simulation誌に掲載が決定した。
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