研究課題/領域番号 |
08650484
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
中村 孝文 静岡大学, 大学院・電子科学研究科, 助手 (70144061)
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研究分担者 |
保 智己 浜松医科大学, 医学部, 助手 (60188448)
森田 之大 静岡大学, 大学院・電子化学研究科・客員教授, 教授 (80034164)
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キーワード | 覚醒レベル / 自動車運転 / 開瞼度 / 眼球運動 / 瞬目 / 脳波 / 心電図 / analog visual scale |
研究概要 |
近年の車の普及に伴い、長距離運転や、夜間走行による疲れからの居眠りによる交通事故が頻発しており、その防止策が求められている。本研究は、眠気度と開瞼度、瞬目回数、眼球運動量の眼に関するパラメータ及び脳波や心電図等の生理的パラメータとの関係について定量的解析を行い、それらの昼と夜における特性を明らかにして、居眠り運転防止対策の資料とすることを目的とした。 健常成人7名に市街地走行中の車の運転席から前方を撮影した映像を見せ、自動車運転を模擬した状態での記録を午後2時と午後10時に各1時間づつ行った。測定パラメータは開瞼度、瞬目回数、眼球運動量、脳波(O_z・O_3)、心電図、呼吸である。主観的ねむけ度は、analog visual scale(AVS)の記録を実験開始時から5分毎に、関西学院式眠気尺度(KSSテスト)の記録を開始時と終了時に行った。脳波は%αパワーについて、心電図はR・R間隔について解析した。眼に関する各情報は約10Hz、空間分解能0.1mmで5分毎の平均値を求めた。 1時間全体の平均値では、AVSについては、最も強く眠気を感ずる時を1、最も覚醒している時を0とした場合、昼が0.66±0.13に対し夜は0.54±0.15で、昼の眠気のほうが有意に強かった(p<0.03)。また、心電図のR・R間隔は昼が0.830±0.169秒、夜は0.882±0.177秒で、夜間の方が有意に長かった(p<0.05)。眼裂幅、瞬目回数、眼球運動量、脳波の%αパワーについては、昼間と夜間での有意差はみられなかった。個々のケースに注目すると、眼裂幅はAVSが0.8〜0.9まではほとんど変化がみられなかったが、0.5以上では、同じ程度の眠気であっても眼裂幅が夜間の方が小さいケースが5例中3例あった。脳波の%αパワーは、同程度のAVS同士の比較した場合、昼と夜の強さ関係には一定の傾向がみられなかった。夜間では眠気を感じていなくても、眠いと感ずる昼に比べて必ずしも%αパワー値が小さくなく、また心拍数は夜間で有意に低かったことから副交感神経系が強く作用していることが考えられた。以上より、夜間では被検者が眠気を感じていない場合でも生理的には活動的でない状態にあり、夜間の運転には十分な注意が必要であることが示唆された。
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