研究概要 |
報告者は、有機分子からの微弱蛍光を再現性良く測定するための蛍光計測技術に関する研究を行った。近赤外のパルスレーザーを励起光とした2光子蛍光顕微鏡、および自己位相共役鏡を利用した4πコンフォーカル顕微鏡とダブルパスコンフォーカル顕微鏡開発を行った。これらの顕微鏡についての理論解析および画像測定の実験を行った。 1)2光子励起蛍光顕微鏡 近赤外光のパルスレーザー(チタンサファイアレーザー:波長750nm)を励起光として用いた2光子励起蛍光顕微鏡の試作を行い、DAPIで染色したマウス胎児の目を観察した。試料表面からの距離を変化させることで、それぞれの焦点面での3次元画像を得ることができ、約250μmの深部まで,試料をスライスすることなく観察できることが分かった。さらに、染色された核を解像することができ、試料深部を高分解能で観察できた。 2)位相共役波を用いた4π共焦点顕微鏡 新しく提案した位相共役波を用いた4π共焦点顕微鏡の光軸方向の応答を測定した。位相共役鏡として、セリウムをドープしたチタン酸バリウム結晶(BaTiO3:Ce)を用いた。中心ピークの幅は約0.25μmとなり、ほぼ理論値のλ/2で変調されることが分かった。問題点として、用いた結晶の反射率が約60%と低いことに起因して、試料内での干渉縞のビジビリティーが低くなっていることがわかった。 3)ダブルパス共焦点顕微鏡 ダブルパス共焦点顕微鏡を用いて、ケイソウを観察した。試料を2回透過させた後の像の分解能が低下しておらず、さらに試料を透過したことによる収差が補正されていることがわかった。
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