研究概要 |
Optical Frequency Domain Reflectometry (OFDR)法に基づいて、強散乱媒質中の断層画像を測定するシステムの開発を行った。本システムの測定精度の向上に、以下に示す3つの観点から研究を行い成果を得た。 1,断層画像の奥行き方向の分解能を高めるため、半導体レーザ光源の周波数変調幅をモードホップしない条件で拡大を行った。注入電流変調方式のみでは高々50GHzが限度であることが分かった。このため温度変調方式を取り入れ、変調幅を大幅に拡大させ、分解能を約10倍向上させた。 2,物体表面からの反射光には、信号光である直進光、準直進光以外に大量の拡散光がある。OFDR法ではもちろん、時間領域でこの非信号光の除去を行うが、十分ではない。このため光学的フィルタ・システムを新たに付加し、空間領域での除去効果の改善を行った。Beer Lambert則が成り立つ範囲は、信号光強度に換算して1桁改善できることが求まった。この除去効果は以下のように極めて有効である。本研究では画像計測のため光検出器として8bitのCCDカメラを利用するが、約4桁の微弱な信号光検出に成功した。 3,強散乱媒質中での光の伝播特性は十分解明されていない。特に本研究での反射型での戻り光の性質がほとんど知られていない。強散乱媒質では比較的浅い領域からでも直進光の戻り光はほとんど存在しなく、準直進光を信号光として性質を調べた。この研究ではモンテカルロシミュレーションにより行った。戻り光の伝播路を確率として求め、その光路長依存性を調べた。光路長をmmオーダの一定距離内に制限すると、伝播路そのものが大幅に狭まることを得た。OFDR法により時間領域で光路長制限をmm単位で設けることができるが、その有効性が顕著であることを示す結果を得た。
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